北海道教育大学釧路校との交換留学の制度について

●北海道教育大学釧路校との国内留学制度とは

教員養成系の学生の資質向上を目的に、相互に学生を半年間派遣する国内留学制度です。琉球大学教育学部と北海道教育大学釧路校(教員養成のための単科大学)は、平成16年度から交換留学を行っています。
釧路校の学生は前学期の4月1日~9月30日、琉大の学生は後学期の10月1日~3月31日が留学の期間です。派遣人数は両大学とも10名以内です。

●異なる地域性(自然、文化、歴史)

両大学が立脚している自然・文化などの風土が異なっているので、留学体験で視野を拡大することによって、他者理解や寛容な適応能力などを強化する契機となります。
学校外でのフィールド系授業が充実しており、亜寒帯の自然,釧路湿原、野外体験学習(場合によってはイワナ・ワカサギ釣りなどを含む)、ウインタースポーツなどに接することができます。
また、北方領土に関する学習活動、フレンドシップ事業、フリースクール訪問、へき地校での学びなどもあります。

夕陽※掲載している写真は、留学生から提供いただいています。

●釧路校へ派遣された学生は?

琉球大学教育学部の所属専修と同内容に近い専攻に所属して、釧路校の開設科目を履修します。取得した単位は本人の申請により琉大で認定が可能です。条件を満たせば、教職科目、小学校教科の専門科目、中高免許を出す教科専門科目については単位互換を行っています。( ※科目の履修、単位の認定については一部制限がありますので、留学前には十分な確認が必要です。)
学生寮か格安の宿舎に住むことができます。学生寮では1日3食、食事をとることが可能です(食費は実費です)。

牧場※掲載している写真は、留学生から提供いただいています。
スキー※掲載している写真は、留学生から提供いただいています。

●留学生レポート

登山

交換留学の間、私は日常生活や講義、活動等を通して、北海道の自然環境や文化について学びました。沖縄との違いで印象に残っているのは、紅葉や雪が見られることと規模の大きさです。10月の後半ごろに紅葉が見られ、12月頃に雪が降りました。沖縄では四季の違いがあまり感じられないので、とても新鮮で、感性が豊かになった気がします。授業外の活動で、イワナ・ヤマメ釣りやワカサギ釣りがあり、釣った小さな魚を内蔵処理し、川の水できれいに洗った後、枝にさして焼いて食べるという体験をしました。そこでは、自然の有難さや自然を守ることの大切さを学ぶことができました。また、北海道は規模が大きく、隣町までの距離が長いので、どこかに出かけるときは2時間くらい車に乗ることは普通でした。もう少し遠くに行くと4,5時間乗ることがあり、長時間移動が当たり前の世界に文化の違いを感じました。他にも、道路や近くの公園でキツネやシカを見かけることや移動中に鶴も見られることに驚きました。
講義では地域教育についての理解が深めることができました。研究室活動では、山登りや餅つき、沖縄のお菓子作りなどをしました。特に、約6時間の山登りは、服を重ね着して温度調節をしたり、熊よけのホイッスルや鈴を持参したりなど初めての経験ばかりでした。山の高さによって植物が変わることや登山の際の注意事項など、実際に体験しながら学ぶことができ、頂上では絶景が広がっていました。地域教育分野の講義では、実際に行われている地域教育の実践に触れたり、地域教育とはどのようなものなのかについて理解を深めました。さらに、周りの自然を生かした授業づくりについても考えました。このような講義を通して、地域教育の重要性や課題について学ぶことができました。また、講義形式でなく、グループワークや実践的な活動が多いところが特徴的であり、自主的に学ぶ姿勢も身に着けることができたと思います。

照屋 朱里(数学教育専修)

焚火

半年間という短い期間の北海道生活は、自分の人生の中でとてもかけがえのないものになりました。 沖縄とは正反対の環境での学びは、新鮮でもありいろいろな学びがありました。交換留学があることを知った上で琉球大学教育学部を受験をしたため、実際に大学在学中に交換留学に参加することができて本当良かったと思います。総合大学である琉球大学とはちがい、規模も小さく、校舎も小さかったのですが、教育に対する姿勢がしっかりしていて、2年生からゼミがあったり、何個も免許をとる生徒が多かったりなど、琉大とは違う環境設備が整っていると感じました。私が所属したゼミは食育のゼミだったのですが、大学生が計画して実践する食育活動(あぐりちゃれんじ)にも参加することができました。私たち琉大生が担当する月もあったので、みんなでちんすこうとジューシーを作り食べたり、またウチナーグチクイズをしたり北海道の子どもたちに沖縄の文化に触れてもらう機会を作ることができました。
また、一年を通した食の学びもあり、食育のもたらす子どもたちが学べることはたくさんあるのだということを実際に感じることができました。他にも、野外教育と授業では雪国ならではの野外活動を自分たちで計画して行ったり、スキー合宿やイワナ・ヤマメ釣り、ワカサギ釣り、たたら製鉄の授業を行ったりなど、自分たちで経験することを中心とした学びもたくさんありました。たたら製鉄の授業では、自分たちで準備から全て行い、附属小学校の子どもたちと鉄を作るという体験をしましたが、本当に鉄が出てきたときには、子どもたちと一緒に声を上げて喜びました。
そして、釧路校では特別支援やインクルーシブ教育に力を入れているように感じ、そのような講義も受講することができました。私たちがこれから子どもと関わる大人になる上でとても大切な考え方や知識を学ぶことができましたし、個人的には卒論のヒントにもなりました。

上地 花菜(子ども教育開発専修)

※2020年度は新型コロナウィルス感染症の影響で留学が中止となったため、レポートは2019年度の再掲です。