おしゃべり 学部長×学生
  • 左側: 宮城 いづみ (みやぎ いづみ)
    教育学部中学校教育コース4年次 /数学教育専修所属 (沖縄県立普天間高校出身)
  • 中央: 知念 弘樹 (ちねん ひろき)
    教育学部小学校教育コース4年次 /子ども教育開発専修所属 (沖縄県立向陽高校出身)
  • 右側: 萩野 敦子 (はぎの あつこ)
    教育学部長 /国語教育専修所属 (2020年4月に学部長着任)

はじめに

はぎの

はぎの

今日は、琉球大学教育学部への入学を考えてくれている人に学部の様子を知ってもらうために、教育学部ライフを満喫している二人をお招きしました。学生の目線で、教育学部や学生生活についてたっぷり語ってほしいと思います。

なぜ琉球大学教育学部に?

はぎの

はぎの

まずは、4年前の記憶をたどって、ここを選んでくれた理由を教えてください。

いづみ

いづみ

数学教師になりたくて、教育学部の数学教育専修と理学部とで迷いました。でも教員は教育の専門家なので、教科書以外のことを求められているのかなと思って教育学部を選びました。あとは沖縄が大好きだから、琉球大学でと。

ひろき

ひろき

友だちに勉強を教えるのが好きで、高校時代に教師に自分の将来の夢として絞りました。県外の教育学部に進学する友達もいたけど、自分は沖縄で教師になりたいという考えがとても強かった。県内出身だからこそ、課外活動で沖縄の子どもたちと関わりやすいだろうとも思って。

はぎの

はぎの

二人とも学部パンフレットやオープンキャンパスなどで教育学部の情報を持っていた?

いづみ

いづみ

はい、そうですね。オープンキャンパスは、高校時代に団体で参加しました。

はぎの

はぎの

二人は教育学部の教育組織が変わった年の入学生ですね。特に弘樹さんは子ども教育開発専修の1期生ですけど、ここを目指していたの?

ひろき

ひろき

教師になりたいのと同時に、学校外や地域教育にも興味があったので、もともと子ども地域教育コースを意識してたんです。それが改組でなくなって(笑)、でも学校と地域が合わさったというイメージだと知って、新しい子ども教育開発専修いいなと思いました。

おしゃべり 学部長×学生

どんな授業が面白かった?

はぎの

はぎの

教育学部で特に印象に残っている授業はありますか?

いづみ

いづみ

2年生で受けた「幾何学序論」です。座学もあったんですけど、学んだ中から自分で選んで研究を深めて、最後に発表するんです。仲間に伝えるために深く勉強しなければならないので、教師の仕事ってこういうことなのかな、実体験しながら教えるということを学んでいるのかなって思ったのが、印象に残っています。

はぎの

はぎの

専門的な知識を学びつつ、それを使って自分はどう教えるかっていう方にいくっていうのが教育学部の良いところですね。

ひろき

ひろき

私も2年生の授業なんですけど、専修必修の科目「子ども学フィールドワーク」です。20人の受講生が、北玉小学校の日本語教室、西原町の図書館、宜野湾市のポケット保育園の3つのフィールドに分かれて実践を行います。私は保育園で、体育遊びを提案するっていうテーマに取り組みました。ボールを投げ入れるゴール「ホイホイくん」という遊び道具を段ボールで創ったんですが、7人チームだったんですけど、意見の食い違いもあってめちゃくちゃケンカもした(笑)。でも、最終的に実践が終わったときに頑張ったねって言い合えました。子どもたちも「ホイホイくんちょうだい!」って言ってくれて。

はぎの

はぎの

実践を通して子どもの成長段階を学んだんだね。二人とも2年生の授業が3年生以降のゼミ選択に結びついていったんでしょうね。

おしゃべり 学部長×学生

授業以外の活動の思い出

はぎの

はぎの

次は、授業以外の活動で印象に残っていることがあれば、聞かせてください。

いづみ

いづみ

1年次から3年間続けた「コックさん学校」(※1)。子どもと関わりたいという気持ちがあったところに、先輩から誘われて入りました。「コックさん学校」の魅力は、2ヶ月間の活動期間に子どものいろんな変化が見られること。最後の卒業式は感動です。それに、先輩方や先生方から教わりながら試行錯誤して作り上げた授業を、子どもたちの反応も楽しみながら実践するんですが、授業後の反省会でさらにブラッシュアップするっていうのが、自分の成長にもなると思います。

はぎの

はぎの

これは14年続いているプロジェクトなんですよね。弘樹さんは、どうですか?

ひろき

ひろき

在学中に海外に出て何かできたらいいなと考えていたので、「SPLEA(スプリー)」(※2)に誘われたとき、すぐに飛びつきました。1期生だったので何もわからない状態でラオスに行って、現地で運動会を3~4校分くらい企画したんですよ。子どもたちと一緒に綱引きをしたりリレーの勝負をしたり。運動会っていう日本の学校の文化を持っていったわけだけど、子どもたちとも楽しく活動できて、子どもって世界中どこに行っても変わらないなって勉強になりました。活動外では、道端で物乞いをしている人に会ったり「喉が渇いて苦しい、助けてください」っていう人に会ったりして、日本ではない経験をしました。あらためて日本って恵まれているなって思いました。せっかくこういう経験をしたんだから、自分が教員になったときに子どもたちに、世界にはこういう生活をしている人たちもいるんだよってことをしっかり伝えて、何か自分たちにもできることはないか考えてみようよって伝えたいです。

はぎの

はぎの

自分の経験があるから、具体的な国際交流のありようを、子どもたちと考えられますね。

おしゃべり 学部長×学生

卒業研究について

はぎの

はぎの

ところで、二人は4年生だけど、卒業研究のテーマは?

いづみ

いづみ

「MMT(現代貨幣理論)」です。数学の理論を使った経済のゲーム理論に興味があると先生に伝えたら、これを紹介されました。私の所属しているゼミは、各自の興味関心があることを追究して学び続ける、そのために広くアンテナを張ることをモットーとしています。

ひろき

ひろき

自分は、乳幼児教育専門の先生のゼミなんですけど、卒業研究は学校行事についてやっています。出身の南城市立大里中学校には、夏休み中に地域の人から子どもたちが伝統芸能を教わって夏休み明けの日曜日に発表会をする「ふるさと伝統芸能まつり」、通称「ふる伝」という独自の行事があるんです。だけど、アルバイトの学習塾で生徒たちから「ふる伝、嫌だな」「なんで行かないといけないんだろう」って不満が聞こえてきて。学校が地域と結びつく大切な行事だと思うんですけど、子どもたちが置いてけぼりにされているんじゃないかなと感じました。それで、子どもたちの想うふる伝、先生たちの想うふる伝、地域の人たちが想うふる伝、3つを比較していったら面白いことができて、行事も続けていけるんじゃないかなと思って、研究をしています。

はぎの

はぎの

先生ってつながりの核になれる職業でもあるよね。どういう核のあり方があるかっていうのを、授業でも課外活動でも卒論でも、二人は4年間で探究しつづけている感じがしますね。

おしゃべり 学部長×学生

教育学部の雰囲気は?

はぎの

はぎの

教育学部の先生や学生、あるいは事務の方たちの雰囲気などは、どうですか?

ひろき

ひろき

先生たちは、個性的な人が多いなって印象がとてもあって面白い。学生は、みんなで頑張ろうっていう意識がとても強くて、授業疲れたな、行きたくないなっていう時も、必ず誰かが支えてくれます。保育士試験の勉強をしているんですけど、幼稚園の教員免許の授業とってるメンバーで集まって勉強会したり。後輩とのつながりでも、年上年下とか関係なく、お互いにリスペクトしつつ刺激し合えています。

いづみ

いづみ

数学教育専修は少人数ということもあって、横は人数が少ない分結束力が強いし、上下もつながりが強くて、運動会とかスポーツ大会とかいろんなイベントも毎年やっています。先輩とも話しやすい、教えてもらいやすい雰囲気です。他学科とも、スポーツ大会とか「クルー」っていう新歓行事とかをきっかけに、いろんな情報交換したりとか。私自身は、特別支援教育専修の友達のおかげで参加できた活動もありました。

ひろき

ひろき

それから、いろいろな実習は事務の方々がいるおかげでできることなので、感謝しています。授業に関することや大学生活に関するあれこれを情報発信してくれるし、コロナの時にも必要な情報をすぐに通知してくれるので、事務の皆さんは学生にとって必要不可欠という感じです。

いづみ

いづみ

3年生の附属学校実習の時、朝早かったんですけど、教育実習の担当の事務の方も早くいらしていて、「おはよう、今日も頑張ってきてね」って声かけてくれて、とってもうれしかったですね。あの時、疲れがピークだったんですけど、その一言はとっても救われました。

おしゃべり 学部長×学生

教育学部の、ここが課題!

はぎの

はぎの

ここまでは良い話ばかりを聞いてきましたが、敢えて教育学部の課題も聞きましょう。校舎の老朽化はどうしようもないけど(笑)、こういうところが変わるともっと魅力的な学部になるよという提案があれば、聞かせてください。

ひろき

ひろき

他学科の先生方とつながる機会がない。

はぎの

はぎの

確かに。私なんか国語教育専修の学生以外には、ほとんど知られていない(笑)。

ひろき

ひろき

授業で担当してくださった先生方とは挨拶しますけど、全く関わらない先生とは関わらないので、もったいないなって思って。「先生ってどんな研究をしているんですか」みたいな、研究室を気軽に訪問できれば、学生も幅広く勉強になるのかなって。自分が知りたいと思ったらこの先生のところに行ってみようって雰囲気があったら、より楽しいのかなって思います。

はぎの

はぎの

これだけいろんなタレントがいる学部は他にないもんね。

ひろき

ひろき

目安箱みたいなものも欲しい(笑)!

いづみ

いづみ

自分の実体験からなんですが、教育実習の時に、ICT機器、パソコンやタブレットなどの活用方法を十分に知らない状態で入ってしまったので、附属の先生から教えていただいたのですが、あらかじめ使い方を教えてもらえる授業があったら嬉しいなっていうのはありましたね。

はぎの

はぎの

いいところを突く(笑)。学部でも検討を始めています。GIGAスクール構想って言って、小中学校の児童生徒全員にタブレット配付とか国が打ち出してるの。子どもが使えるのに、教育実習生が使えないというのは困りますもんね。

いづみ

いづみ

ZOOMとかも全然使い切れていないっていうところもあるので。

はぎの

はぎの

GIGAスクール構想が実現する前にコロナが来てしまったので、ちょっとスピードを増さないといけないですよね。教育学部も変わっていかなければ。二人はバランスよく、ソフト・ハード面で意見を言ってくれました。ありがとう。

おしゃべり 学部長×学生

教育学部をめざす人へのメッセージ

はぎの

はぎの

二人からぜひ、琉球大学教育学部を目指す皆さんへのメッセージを発信してほしいです。

ひろき

ひろき

自分が大学に入ったら絶対何かやるっていうのを決めておく。自分はボランティアとかには積極的に参加しようと思ってアンテナを張っておく気持ちで入ってきたら、いろんな情報が落ちていたので、キャッチして学びに持ってきました。おかげで、楽しい大学生活になっています。

いづみ

いづみ

大学生って挑戦できる期間だから、チャンスを逃さないっていうのが大事。私が偶然の出会いでいろんな活動をさせてもらってるのも、チャンスを逃さないっていうのをテーマにずっと持ってたからこそです。

はぎの

はぎの

二人は同じ気持ちを持っているってことだよね。そういう気持ちを持っていれば、琉球大学教育学部で充実した4年間を過ごせますね。

おしゃべり 学部長×学生

琉大教育学部の学びと魅力

ひろき

ひろき

付け加えて良いですか。教育学部だから絶対教員じゃなきゃいけないっていう訳ではないと思うんです。でも、幅広く視野を広げていたら、そこから教育に通じる何かを学べることもある。バイトとか塾とか学童とかに限らず、接客業に行ったら会社の中で自分の生きる術みたいな、そういったことも学べると思うので。視野を広げていろんなものを見るっていうのも大事なのかなって思いますね。先生、どう思います(笑)?

はぎの

はぎの

先生って授業するだけじゃないですからね。弘樹さんが言ってくれたことに重なるんだけど、教育学部に来る人には、まずは教育というものに関心を持っていてほしい。どんな人でも人を育てる経験はするよね。子どもができたら子どもを育てるし、社会に出ても後輩が入社してきたら育てるし。学部長の本音としては(笑)一人でも多くの学生が教員になって欲しいけど、まずは、どんなふうにしたら豊かに人を育てることができるかを考えてもらえたらいいなって思います。人を育てるってどういうことだろう、人を育てるために自分はどうあればいいんだろうと4年間考えてくれれば、結果的に自分が成長するはず。それを、教育学部の学生には期待しています。

いづみ

いづみ

私も付け加えたいです(笑)!大学の先生も附属学校の先生も、私自身が見えていなかった出来ているところ、良いところっていうのをすごく見ていて、褒めてくださるのが、嬉しくて。もちろん逆に弱い部分、苦手としている部分も教えてくださって、さらにアドバイスをくださるっていうのが、とっても手厚いなって印象です。高校生のころは、結構大学ってドライなイメージがあったんですけど、入ってみると違いました!

ひろき

ひろき

自分もそれは感じていて、ちょっと「ん~」ってなってる時も、先生方は連絡くれたりフォローしてくれますし、自分の長所短所についてもしっかり言ってくれますし。

はぎの

はぎの

琉球大学では、学年ごとの指導教員も、ゼミの指導教員も、学生を見守っていますもんね。今の話は受験生の皆さんに、わが教育学部を推せる大きなポイントになりますね(笑)!今日はいろいろな話を聞かせてくれて、ありがとうございました。

おしゃべり 学部長×学生
(※1)琉球大学教育学部の学生が毎年20名弱集まって、近隣小学校の児童を対象に行っている模擬学校。“国”語と“算”数を楽しく学ぶので「コックさん」。
(※2)団体名「the Association of Sports and Physical Literacy Education for All」の略称。その中に、全国13大学の学生が集う「国際教育協力学生ボランティアズ」があり、琉球大学の学生も2018年度から参加している。

2020年6月8日(月)14:00~17:30
新型コロナウィルス感染予防のため、三密を避け、距離を取りながら校舎の周りを散策して撮影しました。
(インタビュー時はマスクを着用)